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深夜のTV

ある男子大学生が深夜に帰宅してリビングでテレビを見ていた。
 
段々ウトウトとしてきて、彼はいつの間にか眠りに落ちていた。
 
意識はもうろうとしているが、浅い眠りだったのでテレビの音だけは頭の中に入って来る。
 
ふと気が付くと、番組が終了した後の砂嵐の音が聞こえてきて、ザーという音がテレビから流れている。
 
すると突然、お堅い感じのニュース番組が始まって、男性のアナウンサーがあり得ないことをしゃべっている。
 
「明日のお亡くなりになるのは××○○さんです」
 
「明日のお亡くなりになるのは××○○さんです」
 
これを繰り返している。
 
霊感がある彼は直感的に危険を感じ、意識的にテレビを見ないように固く目を瞑った。
 
耳は塞がずに音声だけを聞いていると、アナウンサーがしゃべる内容が段々と変わっていった。
 
「××○○さんはもう死にましたか?」
 
「××○○さんはもう死にましたか?」
 
“××○○さんが明日死ぬ”という予言的な内容から、視聴者に生死を問いかける内容に変わっていった。
 
アナウンサーが言う「××○○さん」はまったく聞き覚えの無い名前である。
 
抑揚の無い声で訃報を伝えるアナウンサーが怖くて仕方がないのだが、彼はテレビを消す勇気もなく黙って聞いているしかなかった。
 
「応答がありませんねえ」
 
アナウンサーは中継の不具合の時のようなコメントを言う。
 
心底恐ろしくなった彼は“早く終われ、早く終われ”と、心の中で願うだけであった。
 
その後、しばらく沈黙が続いて、アナウンサーはしゃべらなくなった。
 
“もう終わったかな?”彼が薄目を開けた瞬間、
 
「××○○さんは明日死ねばいいなあ」
 
アナウンサーがそう呟くと、ニュース番組は突如終了し、テレビの画面は砂嵐に戻ったという。


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